気付けば眠っていた。
久しぶりに夢を見なかった。
どれくらい眠ったのか分からない。
目を開けると窓の外は少し赤くなっていて夕方になっていた。
ぼんやりと天井を見る。
そして隣の気配に気付く。
翡翠だった。
ソファの横に座っている。
本を読んでいたらしい。
「……何してる」
掠れた声で聞く。
翡翠が顔を上げた。
「起きた?」
安心したように笑う。
その顔を見た瞬間胸の奥がじわりと熱くなる。
いた。
まだいた。
その事実だけで身体の力が抜けそうになる。
「帰ってなかったのか」
「起きるまでいるって決めたから」
当たり前みたいに言う。
美都は言葉を失う。
そんなこと今まで誰もしてくれなかった。



