しばらく無言で歩く。 雨音だけが聞こえる。 不思議だった。 さっきまであんなに苦しかったのに。 今は少し楽だった。 胸を締め付けていた感覚が薄れている。 隣を見る。 翡翠がいる。 それだけだった。 本当にそれだけなのに。 「神城くん?」 視線に気付いたらしい。 「何」 「顔色少し戻った」 翡翠は安心したように笑った。