君だけが俺の居場所だった


翡翠は何も言わなかった。

慰めもしないし否定もしない。

ただそっと美都の手を握った。

温かかった。

驚くほど。

「じゃあさ」

翡翠が小さく笑う。

「今はここにいる」

美都は顔を上げる。

「未来は分かんないけど」

「……」

「今はちゃんといるよ」

その言葉に胸の奥が痛くなる。

泣きたいわけじゃない。

そんなはずない。

なのに目の奥が熱かった。

美都は俯く。

翡翠に見られないように。

「少しだけ寝よ?」

もう一度言われる。

その声がどうしようもなく優しかった。

そして美都は初めて翡翠の前でだけ少しだけ力を抜いた。