「気のせいだ」 少し強い声が出た。 翡翠は目を瞬く。 「ごめん」 素直に謝る。 その顔を見て。 美都は小さく息を吐いた。 別に怒ったわけじゃない。 ただ。 触れられたくなかった。 雨の日だけは。 誰にも。 「……別に嫌いじゃない」 ぽつりと呟く。 嘘だった。 嫌いなんてもんじゃない。 雨の日だけは。 昔を思い出す。