結局美都はソファへ寝かされた。
「少し寝て」
翡翠が言う。
「寝ない」
「寝る」
「寝ない」
「寝る」
押し切られた。
睡魔には勝てない。
目を閉じる。
翡翠の姿がぼやける。
最後に見えたのは心配そうな顔だった。
そして意識が落ちた。
夢を見た。
また同じ夢だった。
遠ざかる背中に閉まるドア。
置いていかれる感覚。
父親、母親そして翡翠。
「待て……」
夢の中で手を伸ばす。
届かない。
行くな。
置いていかないでくれ。
苦しい。
息ができない。
「翡翠……」
無意識だった。
初めて名前を呼んだ。



