その頃委員会が終わった翡翠は教室へ戻っていた。
そこで気付く。
美都の机の中に教科書が一冊残っている。
「神城くんらしくないな」
いつも忘れ物なんてしない。
翡翠は教科書を手に取る。
少し迷う。
そしてスマホを取り出した。
『教科書忘れてるよ』
送信。
すぐ既読が付いた。
それだけなのに翡翠は少し安心した。
家にいた美都は通知を見た瞬間立ち上がっていた。
翡翠からだった。
たった一通。
たったそれだけなのに胸が苦しいほど嬉しい。
おかしい。
本当に。
こんなの今までの自分じゃない。
でも止められない。
気付けば指が動いていた。
『今どこ』
送信してから。
美都は初めて気付く。
それがただ教科書のことを聞く返信じゃなかったことに。



