君だけが俺の居場所だった


放課後私は弟の緋色を迎えに行くため駅へ向かっていた。

改札の近くで偶然美都を見つける。

少し離れた場所でスーパーの袋を持っていた。

一人暮らしなのかな?

その時美都が買った袋からペットボトルが落ちた。

私の方に転がってきて反射的に拾った。

「はい」

差し出すと美都は少し驚いた顔をした。

「……どうも」

短い言葉。

でも初めてちゃんとお礼を言われた気がした。

「じゃあね」

私は笑いながら言ったけど美都は何も言わない。

でも立ち去る前に一度だけ振り返った。

ほんの一瞬。

それだけだったのになぜか嬉しかった。

翡翠は首を傾げる。

まだ恋じゃない。

憧れでもない。

ただ神城美都という人のことが少しずつ気になり始めていた。

雨は今日も降り続いている。