「待て」
追いかける。
必死に走る。
でも距離は縮まらない。
翡翠はどんどん遠くなる。
やめてくれ。
行くな。
置いていかないでくれ。
叫んでいるはずなのに。
声が出ない。
そのまま翡翠の姿が消えた。
「っ……!」
美都は飛び起きた。
午前二時四十分。
暗い部屋。
静かな家。
息が苦しい。
額には汗が滲んでいた。
夢だ。
ただの夢。
そう分かっている。
なのに胸の痛みだけが消えない。
スマホを見て翡翠とのトーク画面を開く。
最後のやり取り。
そこに確かに存在している。
それを確認して少しだけ安心した。



