夜また眠れない。
時計を見る。
午前一時。
二時。
三時。
目を閉じても浮かぶのは翡翠だった。
笑顔。
声。
手を引かれたこと迎えに来てくれたこと全部頭から離れない。
そして一番苦しいのはもし翡翠が誰かのものになったらその全部が自分のものじゃなくなることだった。
気付いてはいけないところまできてる。
美都の心は少しずつ壊れ始めていた。
夢を見た。
翡翠がいていつもみたいに笑っている。
「神城くん」
優しい声で呼ぶ。
それだけで安心した。
なのに次の瞬間だった。
翡翠の隣に誰かがいる。
知らない男だった。
翡翠は笑う。
自分に向ける笑顔じゃない。
男に向ける笑顔だった。
「翡翠」
呼ぶ。
でも届かない。
翡翠は振り返らないでそのまま遠ざかっていく。



