その夜眠れなかった。
スマホを見る。
翡翠とのトーク画面。
『今日帰る?』
それだけ。
本当にそれだけなのに。
返信できない。
もし送ったら何かが変わる気がした。
もし翡翠がいなくなったら。
その時はきっと今より苦しくなる。
だから近付かない方がいい。
そう思うのに……
翌朝鏡を見ると顔色が悪かった。
目の下にも薄く影ができている。
でも学校へ向かう。
会いたい。
会いたくない。
会えば安心する。
でも怖い。
そんな感情がぐちゃぐちゃに混ざっていた。
そして教室の扉を開けた瞬間。
窓際で笑う翡翠が目に入る。
胸が少しだけ軽くなる。
そのことに誰よりも恐怖を感じていた。



