その時美都が振り返る。
目が合ってしまった。
見ていたのがバレた。
慌てて笑う。
「こんにちは」
美都は少しだけ眉をひそめた。
「……何」
「え?」
「また見てた」
図星だったから固まってしまう。
「ご、ごめん」
「別に」
美都は立ち上がってそのまま階段を上がる。
すれ違う瞬間微かにシャンプーの香りがした。
「変な人」
背中を見送りながら呟く。
本当に不思議だった。
話しかければ冷たい。
笑わないし近寄り難い。
なのに嫌な人ではない。
むしろどこか放っておけない。
そんな気持ちになる理由は分からなかった。



