「俺、前の職場でまかないを食べるとき、こだわりが強すぎて引かれたことがあって。このメニューにはこの隠し味が足りないとか、盛り付けのバランスで味が変わるとか、まかないなのに毎回うるさく批評しちゃって」
少し笑った。
「食べることへの熱量が、人と合わないことがあるんですよね」
その言葉が妙に可笑しくて、妙に愛おしかった。この人にも、そういうところがあるのか。私は豚汁に視線を落としながら、口元がほころぶのを堪えた。
窓の雨音と、向かいで黙々と食べている橋本くんの気配が、なぜか口を軽くした。
「……昔付き合っていた人のことを、たまに思い出すんだよね。三年前に別れたんだけど、六月になると思い出して」
「どんな人だったんですか?」



