おいしそうに食べる後輩が、ずるい〜年下くんの一途な溺愛〜


土曜日の夜、私たちは代官山のイタリアンに入った。落ち着いた照明で、テーブルの間隔が広くて、窓の外に夜の葉が揺れている。

「水野さんはどれにします?」

橋本くんが、メニューをざっと見て聞いた。「パスタかな」と答えると、「じゃあ俺はリゾットにします。半分こできるやつを頼みましょう」と言った。決断が、相変わらず早い。

ワインを注文して、グラスを軽く合わせた。

「今日、来てくれて良かったです」

橋本くんが微笑む。

「私が誘ったんだけど」

「知ってます。だから、余計に良かった」

私は返事の代わりに、ワインを一口飲んだ。


しばらくして、料理が来た。私のパスタはからすみとボタン海老のクリームソース、橋本くんのリゾットはポルチーニと鴨のロースト添え。どちらも湯気が立っていて、照明の下で光っていた。

「いただきます」

橋本くんが言った。私も手を合わせる。

彼がスプーンを取り、リゾットをすくって口に運ぶ。咀嚼して、少しの間があって、目元がゆっくりとほどけた。

私はその表情を、今夜は隠さずに真っ直ぐ見ていた。定食屋のときから、ずっと見たかったあの顔が、照明の近さの分だけ今夜は鮮明だった。

「うまい」

橋本くんが顔を上げた。私と目が合って、一瞬だけ目を細めた。見られていたことに、気づいていたのかもしれない。

「水野さんも食べてみますか」

自分が今使ったスプーンでリゾットをすくい、彼がこちらへ差し出してくる。自然な動作で、ためらいがない。