おいしそうに食べる後輩が、ずるい〜年下くんの一途な溺愛〜


さらりと言った。けれど私を見つめる彼の瞳の奥に、言葉の軽さとは裏腹な、ひどく濃厚な熱が宿っているのを見てしまって、私は呼吸を忘れた。

橋本くんが、ゆっくりと視線を落とした。私の手元へ、それから私の口元へ。まるで食べる顔を確かめるように。その視線の動きに気づいた瞬間、頬に熱が集まった。

──一緒に食べている人のことが、好きだから。

その言葉は夜になっても、翌朝になっても、頭の中でずっと鳴り続けた。

橋本くんはあれをただの持論として言ったのか、私に向けて言ったのか。聞けなかった。聞いてしまったら、何かが変わる気がした。

変わってほしい気持ちと、変わってほしくない気持ちが、胸の中で雨音みたいにずっと降り続けていた。彼はやっぱり、ずるい人だ。

翌朝、「今日ランチどうですか」といつもの声がした。私は迷わず「いいよ」と答えていた。

以前は一拍置いていたのに、いつの間にか、そうなっていた。