毒と悪、詰め合わせ。

「財布を盗んだ犯人はあいつだよ」名探偵気取りの同級生の人差し指が、自分にまっすぐ突きつけられた。爪の先が銃口のように見え、いつ弾が飛び出すか知れない緊張感に冷や汗が流れる。彼は首を左右に振る。盗んでなどいない。敵意の籠もった目を向けてくる人たちは信じてくれない。真犯人は名探偵気取りの同級生なのに。訴えても誰の心にも届かないのだった。自分以外はみんな、エセ名探偵を崇拝している狂った信仰者なのだから。