婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



私は顔を真っ赤にさせたまま、ギル様を見つめて声を絞り出した。



「な、何言ってるんですかっ!
僕は……お、男ですっ!!そのような方も……ま、全く、知りませんっ!!」



すると、予想外に効果てきめん……??


ギル様はほんの一瞬切なそうな顔をした気がしたけれど


ふっと笑うと顎にあった指が、私の顎を最後に優しくツゥーとなぞると手が離れていった。



「ほぉ…、そうか」



そう言って、私から離れるギル様はまた椅子に戻ると背もたれに深く座る。



た、助かったぁ……ギル様って本当心臓に悪すぎっ!!距離近すぎっ!!



心の中で文句を言っていると、綺麗な指先で自身の額を押さえて、何かを悩んでいる様子のギル様。


少し胸が落ち着いてくると、そんなギル様が気になった。



ん……?なにか悩んでる……?



ギル様は小さくため息を吐くと、私には聞こえないほどの小さな声でぼそりと呟いた。



「まだリリィは見つかってない……早く目の前のこいつの違和感を突き止めねば……どうもこいつはリリィに似すぎて狂わされる……」



あまりにも小さな声で、何を言っているのかさっぱり聞き取れなかった。