婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】


すらりとした高い身長のギル様が私の目の前まで近づいてくる。
久しぶりに嗅ぐギル様のいい匂いが私の鼻をくすぐる。


ひ、ひぃぃぃ……っ!これ以上近寄ってこないでくださいぃぃ!!


そんな私の願いは虚しく、ギル様は私のすぐ目の前で立ち止まると、綺麗な指先を伸ばし、私の顎をくいっと持ち上げた。



上を向かされた視線の先で、ギル様と目が合うと、美しく意地悪な笑みを浮かべる。



「あいつは今、家を飛び出してどこかで修行をしているらしい。
……なぁリオ。お前は何か知らないか?」


耳元で囁かれる低く色気のある声。


意地悪く私の反応を楽しんでいるその姿に、私の心臓はバクバクと激しく音を立てる。


この男は危険よ!モラハラ臭がするわ!!と前世の私が警笛を鳴らす。