婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】


「はぁぁー……あぶなかった……」


廊下に出た瞬間、私は自分の胸を押さえて思いっきり息を吐いた。



あんな至近距離でギル様に見つめられたら、生きた心地がしないよ…。
本当にどうなるかと思ったけど、なんとかバレずに済んだみたい…。



「ふっ、そんなに俺の主人が怖かったかな? 新人さん」


不意に、頭上から男性の声が降ってきた。



ハッとして顔を上げると、騎士様がサラサラの前髪をさらりとかき上げながら、色気たっぷりに私を見下ろして微笑んでいた。



そうだった……私まだこの人といるんだった。バレないように気を引き締めなきゃっ!


慌ててピシッと姿勢を正す私を見てクスクスと笑う騎士様。