ぐいっ
「わわっ?!」
突然、背後から強い力で引っ張られると、本日何度目かわからないギル様の胸の中に引き戻された。
驚いていると、ギル様は私の顎を綺麗な指先でくいっと持ち上げる。
そして、びっくりしている間に、とても綺麗なギル様の顔が近づいてくる。
その瞬間……
私の唇に、容赦のない口づけが落ちてくる。
「……んふ?!?!」
みんなの前だと言うのに、とても深い濃厚なキスに、私は慌てて離れようとするがどんどん深くなるキス。
抵抗している間にも、段々とくらくらとして頭が真っ白になっていく。
いつの間にか周りに人がいることも忘れて、ギル様しか見えなくなるほど深いキスだった。
甘いリップ音が響くと、やっと唇が離される。
放心状態の私は、ギル様にぎゅっと腕の中に閉じ込められた。
気がつくとみんなからの突き刺さる視線を感じて、今の状況を理解した私はあまりの恥ずかしさに顔をが熱くなる。
そして、ギル様はみんなに向けて美しく黒い笑顔を見せる。
「お前ら、なにか勘違いをしてないか?リリィは俺の婚約者で、俺のものだ。
これ以上口説いてみろ……容赦はしない、わかったな?」
「「「……」」」
私たちのキスにみんなが驚いていることなんてお構い無しのギル様は、私の腰に手を回す。
「ほら、屋敷に戻るぞ。お前はどれだけ屋敷の者たちを、たらしこんだんだ?無自覚にもほどがあるぞ……」
た、たらし……?
私はロキさんみたいなことをした覚えは無いんだけど……それとも違う意味?
よく分からない言葉の意味を考えていると、ギル様は私の腰を優しく引き寄せると、屋敷の中へとエスコートしてくれた。



