婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



え……、何を言っているの?
私はもう婚約者でいれなくなるの……?



それを後ろで聞いていた私は、何かがぷちんっと音を立てて完全にはじけ飛んだ。


いやだ……

国王様だろうが……その娘の王女様だろうが……そんなの関係ない……。

私の心の中にあるのは、ギル様を他の女の人に渡したくない……ただそれだけ

男装して逃げ回って自由で快適な生活をしたいとか……そんなことだってもう全部どうでもいい!!



我慢の限界を迎えた私は、二人に向かって全力で叫ぶ。


「その話……待ってください!!!
ギル様!!!!
私は……ここにいますっ!!!!」

「「……?!?!?!」」



突然の私の叫びに、ギル様とクリスタル様二人が同時に、バッと振り返る。

二人の視線が私に集まる。


……やってやる……!!!!



次の瞬間……、私は自ら自分の頭の上にある茶色のカツラに手をかける。

今まで私を隠して守ってくれたカツラ。

それを思いっきり引き剥がすと芝生の上に投げ捨てた。



今までありがとう……。

でももうこれは今日で卒業する。私はもう逃げない。


侯爵令嬢リリィとして生きていく。