声をかけようとしたその時……
二人の会話に、今日一番びっくりした私は歩みを止めた。
緊張と嫌なドキドキが私の胸に広がる。
私に気づいていないクリスタル様は、まっすぐな真剣な瞳でギル様を見つめてこう言った。
「……ギル様。私、貴方のことをとても好いていますの……」
「それは驚きました……。大変光栄なことですが……申し訳ありません。私には婚約者がいますので」
ギル様は、いつもの社交界用の甘いマスクのまま、驚いたと言いながらも動揺した様子もなく慣れた様子で断りを入れる。
さすが……モテる男は違う!!!
ほっとしてそんな事を呑気に考えていたけれど……、次のクリスタル様の言葉に私は頭が真っ白になった。
「婚約者様がいるというのもわかっていますわ……
だけれど、ギル様の婚約者様は、あなたの元から逃げ出したのですよね……?
それならば、お父様にお願いして婚約を取り消すことだってできますわ
ですから……、私と婚約を結んで貰えないでしょうか?」



