婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】


そして、優しく私を抱きしめてくれているアル様に対してもそれは同じ。



アル様の胸をそっと押すと、腕の力がゆるんだアル様を見つめる。


今度は私が、アル様の頬を優しく両手で包み込む。



「アル様……私と逃げるなんて……そんなのだめです。もちろん、アル様がいなくなっちゃうのだって絶対だめですっ」


「リオ……?」


「ふふっ……むかつくんですけど、私ギル様のことがすごく大好きなんです。

さっきまですごく胸が苦して辛かったんですけど……それって好きだからでしょ?」


「くすっ……そうだね」


「それに、公爵邸のみんなのことも、アル様のことも同じぐらい大切で本当に大好きなんですよ?

だからアル様には、これからもそばにいて欲しいし、公爵邸を守っていてほしい……ギル様とだってずっと仲良しのままでいてほしいんですっ

……ずるいですかね?えへへっ」



私の今の精一杯の気持ちをアル様に伝えるとアル様の頬からそっと手を離した。


ずっと静かに聞いててくれたアル様は、切なそうに深くため息を吐いた。

そして、力なく綺麗に笑う。



「ふふっ……リオって強欲だなぁ……

あーぁ、作戦失敗」