婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



その後、二人はとても楽しそうに朗らかに会話を進めていた。


どこまでも気品あふれて美しい二人のその姿は、すごくキラキラとしていて誰がどう見ても美男美女で、映画のワンシーンを見ているみたいだった。


アル様の背中に隠れている私は、胸が押しつぶされそうなほど切なくて痛かった。



そして、一旦話の区切りがついたのか、ギル様がテーブルへクリスタル様をエスコートしようとしたその時だった……


ドレスの裾を踏んでしまったクリスタル様がバランスを崩してよろめいてしまう。

それをすかさず抱きとめて、優しく助けるギル様。



わざとじゃないってのは分かっているけれど、モヤモヤがとまらない。

二人の近い距離と顔を赤くして微笑むクリスタル様。


楽しげに見つめ合う二人。
見れば見るほどお似合いな二人。



胸がズキズキとして、ずっと我慢していた嫉妬に苦しみに悲しみ。

それ以外にも例えられないような、いろんな感情がぐるぐるとする胸の中が痛くて堪らなくて限界を突破した。


もう……無理……、これ以上見たくない。



そんな情けない気持ちとともに、私の視界がだんだんと歪む。

私の頬を、ツーっと何かが伝っていく。

あまりの苦しさに、無意識に服の上から胸元をぎゅっと握りしめる。