婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



すると、アル様が私の震える手を、大きくて温かい手のひらでそっと優しく握ってくれた。



不思議とその温かさに、緊張がすぅーっと、とけていくような気がした。

それと同時に、だんだんと手の震えがとまっていった。


「アル様……ありがとうございます……。もう大丈夫みたいです。震え止まりました」



顔を上げてアル様を見つめると、少しだけ照れくさくてへらっと笑う私に、アル様もくすくすと笑った。


「くすっ……リオでも緊張することがあるんだね?じゃあ、そろそろギルのところに行こうか」

「えへへっ……本当ですよね……じゃあ、いきましょうかっ!」



二人で馬車からおりると、アル様が私の顔をいたずらっぽく覗き込む。


「いーい?ギルに見つからないように、ちゃんと俺の後ろに隠れてるんだよ?」

「はいっ!わかりましたっ!」



アル様の頼もしくて大きな背中を見つめながら、置いていかれないように後ろにぴったりと隠れて、大きくて広い庭園を一歩ずつ奥に進んで行った。