婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



馬車が止まって窓から外を見ると、目の前に広がるのは、この国で一番大きな立派な建物……王宮。



本当に来てしまった。



目の前の建物を見て、実感した瞬間、あんなにも気合いの入っていた私の指先は、緊張で小さく震え出す。



小さく震えながら、アル様に声をかけられるまで馬車の中で待つ。



すると、カチャリと馬車の扉が開くと、アル様が現れた。



「ごめん、待たせたね。周りの警備も一段落したんだけど……って大丈夫かい?」


「だ、大丈夫ですっ!!」



私の様子を見て一瞬目を見開くと、眉を下げて優しく微笑む。

そして、私の手元に視線を落とした。



「手がすごく震えてる」

「あ……」



強がっていたけれど、震えが止まらなくて気まずくなる私。