婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



───お茶会当日。


朝起きて、私は鏡の前でいつも以上に気合いが入っていた。


ここに来てからというもの、見慣れてしまった少し大きな執事服と茶色のショートカットのカツラ。

鏡に映る男装執事リオとしてのもう一人の自分。

おかしい所はないかと何度も確認をした。



すると、扉を叩く音が聞こえてきた。


────コンコンッ


「リオ、ちょっといいかな?」

「はぁーい、どうぞっ!」



扉を開けて入ってきたのは、綺麗な髪の毛をサラッと揺らして、騎士服をきちっと着こなしたアル様だった。


私の姿をみて、今日も優しく微笑む。


「気合いは十分、って感じかな?」

「もちろんですっ!」



にっこりと笑って返事をする私に、アル様は少しだけ真面目な顔をすると私の目を見つめる。


「最後の確認だよ……、本当に行くの?」



その言葉に、あの日の女の人の匂いが蘇る。


本当は真実を知るのは怖い……。

だけれど……、私はギル様のことを好きになってしまったからこそ、真実を確かめてちゃんと前に進みたいと思っている。