婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



「なっ……なんですかっ?!」


なんで笑っているのかわからず、質問してみるけれど

ギル様はくすくすと楽しそうに笑っているだけで……終いには、笑いすぎてすこしだけ目に涙が溜まり、青い瞳がキラキラとしていた。


こうやって楽しそうに笑っているギル様の姿は、信じられないほどかっこいい。

ぼんやりと見惚れていると



「ふはっ……悪い……笑いすぎたな。

……そうだな、リオの言う通りだ。男同士で、そんなことを言うわけがないな。

俺の聞き間違いかもな……くくっ」

「そ、そうですよー!!あーよかった!!これで誤解がとけましたね?!」

「ほんとお前ってやつは……、まぁそうだな、俺の勘違いだ」



見事すっとぼけが大成功した私は、ほっと安堵する。

やっぱり前世のおばあちゃんの技は最強だ!


そんなことを考えていると、ギル様はどこか可笑しそうにクスクスと笑うと、私の上からそっと退いた。



そして「俺は仕事に戻るからゆっくりしていればいい」と、私に優しく声をかけると最後に頭をすっと撫でる。

綺麗な指先が離れていくと、少しだけ寂しい気がした。

……これだから会いたくなかったのになっ



そして、綺麗な黒髪を揺らしながら去って行ったギル様。

かっこよくてきゅんとする胸を抑えながら、ギル様が出ていった扉をいつまでも見つめるのだった。




そんなこんなで、なぜだか案外甘いギル様は、あれから仕事をしろと言うことはなくて、お茶会の日まで仕事をさぼり続けることができたのだった。


そして、運命のお茶会の日がやってくる。