婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



「ふふっ……いい意気込みだね?じゃあ、次のお茶会まで二人の秘密、だね?」


アル様は悪戯にふっと笑うと、最後に私の頭を優しく撫でて、立ち上がる。


「じゃあ……楽しみにしててよ。もう泣いたらダメだよ?リオが笑顔が一番可愛いよ……じゃあ俺は行くね、またねリオ」



そして、いつものように優しく綺麗に笑うと手をひらりとふって去っていった。


私はさっきまでの悲しい気持ちはどこへやら……。挑戦状を叩きつけられたような気分になりメラメラと燃えていた。


やってやる!!!!

浮気をしているのかしていないのか、私がこの目でしっかりと見てやるんだからっ!!!

覚悟しててよねっ!ギル様っ!





───その頃、お屋敷に先に戻ったアル様は誰もいない窓辺でぽつりと独り言を呟いていた。


「……あーぁ、俺も本当しつこいよねぇ。

ギルと王女様の姿を見て、リオがギルから俺に乗り換えてくれないかなぁ?
……なんて、最低だよね……。

あんなに可愛い顔でギルが好きだなんて言われたら……妬けちゃうじゃん」


一人窓に寄りかかりながら、胸の中に渦巻く嫉妬と戦うアルの独り言が、薄暗い廊下に消えていくのだった。