お屋敷を飛び出して、庭園の奥へと逃げ込んだ。
綺麗なバラが咲き誇る植え込みに、身を隠すように座り込んで涙を拭った。
頭の中はさっきの女の匂いでいっぱいだった。
なによ……頻繁にお茶会に出かけると思ったら、あんなに女の匂いなんてつけて帰ってきちゃってさ……
どんだけ仲良くなってるのよ……
私の事なんてもう忘れちゃったのかな……
悔しくて悲しくて胸がちくちくとして、流れる涙を袖でゴシゴシと何度も拭った。
すると、うずくまる私の視線の先に綺麗な靴が近寄ってきた。
「リオっ、そんな顔してどうしたの?」
「……へっ」
ハッとして顔をあげると、そこにはプラチナブロンドの髪の毛を揺らして綺麗な顔で私を見つめるアル様が立っていた。
「ア、アル様……どうしてここに……?」
「今日はギルのお茶会の護衛だったからねぇー、馬車の荷物の整理をして屋敷に戻ったらリオの怒ってる声が聞こえたからびっくりしたよ」
「……き、聞いてたんですか?!」
「そりゃあ、あんな大きな声で怒ってれば聞こえるよ……ふふっ。
お取り込み中だったから、扉の外で待ってたんだけどリオが走っていくから追いかけてきたんだけど……泣いてたの?」
そう言って首を傾けて優しく笑うアル様は、私の目線に合わせてしゃがみ込んだ。
そして私の顔にそっと手を添えると目元をすっと撫でた。
「リオに涙は似合わないよ……すっごく悲しそうな顔してる」
「な、泣いてないですっ……!!」
「ふふふっ、涙をつけて何を言ってるの?」
アル様は、少しだけ切なそうに笑うと私の目元の涙を拭うとすっと手を離した。



