「……っ!!」
隣に腰を下ろした私に一瞬びっくりした顔をしたレオ様は、視線をそらすと膝に顔を埋めてしまった。
そんな私たちの間には、さらさらと花の匂いを乗せた風が吹いて、二人だけの静かな時間が流れていった。
どれくらいの時間が経っただろうか……ずっと膝に顔を埋めていたレオ様が、ぽつりと小さな声で喋りだした。
「……お前……さっきの兄上との話……聞いてたんだろ?
……何も聞かないのか?」
「んー……そうですねぇ。私の話が出てきたのはわかりましたけど、なんの話だったのかはよくわかんなかったです」
婚約者って言葉は聞こえたけど……揉めた理由はわからない。
レオ様は私の返事を聞くと「そっか……」と小さな声で呟いた。
「私はそんな事より、あんなに悲しそうな顔をして部屋を飛び出したレオ様の方が、とても心配ですよ。何かありましたか?」
私はレオ様の顔を覗き込むと、ニコッと笑いかける。
レオ様はかなり泣いたのか腫らした目で私をじっと見つめ返してきた。



