「……なんでもない。気にするな」
「……そうですか……?」
なんでもないと言うけれど、どう見てもなんでもない様子じゃなかった。
だって……ギル様は私の方を一切見ないでずっと微妙な顔をしている。
昨日は……あんなに楽しかったのに……それが夢だったかのように……今日のギル様は変だ。
「あの……ギル様……本日のご予定は?」
「あぁ……今日は……少しまた屋敷をあけるからすまない……レオのことを頼む」
なぜか、歯切れが悪く頑なに視線を合わせないギル様は、いつもより綺麗に着飾っていた。
そして、立ち上がると「いってくる」と一言残して、私のことを見ずに横をサッと通り過ぎて行ってしまった。
え?!なんなのっ!?
少しだけむっとする気持ちと、昨日と今日のギル様の違いに胸が少しだけチクッと痛んだ。
後ろで扉が閉まると静かになった部屋に私の独り言だけが響いた。
「……なんだろ……昨日より少しだけ胸が痛い……」
むっとする気持ちと胸の痛みで、意味がわからなくてギル様の部屋から動けなかった。



