意地悪そうに笑うギル様を、いつもならうわっ!て思うのに、かっこいいと思ってしまっている私はおかしい……。
それと同時に、こんな事聞かなきゃ良かったと思った。
嫌なことを言われたら……何となくショックを受ける気がしたから。
「やっぱり……な、なんでもないです……」
すると、ぐっと綺麗な顔が近づいてきて私の耳元に唇を寄せると綺麗な声で囁いた。
「……とても、愛している」
「……っ!!!」
その言葉を聞いて私は顔が赤くなるのを感じた……そして、私の胸はドキドキと音を立てる。
そのドキドキは今までと全然違うドキドキだった。
そして……なぜかすごく嬉しいと思ってしまった。
「なんでお前が顔を赤くしている?俺は俺の愛する婚約者に言ったつもりなんだが?くくっ」
「……な、なんでもないですっ!」
ギル様はくすくすと意地悪そうに笑っていて、さっきまでのモヤモヤは一瞬で消え去り、いつもと違うドキドキが止まらなかった。
ギル様は、全然思ってたような人じゃない、むしろとても素敵な人だ。
口が悪いし意地悪だけど……それは私を苦しめるようなものでもないし……、なによりこうやってただの執事の私なんかのことを考えてくれる優しい人だ。
「あの……今までいろいろ勘違いしててごめんなさい」
「気にするな、勘違いがとけたならよかった。すっかり体調もよさそうで安心した」
ギル様は、こんな私に美しく笑うと私を愛おしそうに見つめてる気がした。
私は今リオだからそんなわけないのにね?
静かな夜の部屋で二人きり……月の光でキラキラといつもより輝いて見えるギル様はすごくかっこよくておとぎ話の王子様のように見えた。
彼が社交界で人気なのがやっと分かる気がした。
そして、いつもよりもギル様を纏う雰囲気が優しくて温かくて、私の胸はその日いつまでもドキドキと音を立て続けていた……。
なんだろう……いつものドキドキと本当に全然違う……
違う種類の……ドキドキがする……。
これは……なに?



