前世のモラハラ男は、私を部屋の中に閉じ込めて、体調を崩していたって「俺は仕事が忙しいんだ」その一言で、こんな風に心配なんてしてくれなかった。
ましてや、仕事の合間に私のことを考えてくれるなんて、ありえなかったな。
「ふっ……そういうことか……」
目の前で何か腑に落ちたような顔をするギル様は優しく笑っていた。
「お前の魅力は、規格外で自由なところだ……そんなお前を閉じ込めておくわけがないだろう?自由にしてればいい、ずっとな
俺はお前の楽しそうに笑っている姿が好きだからな」
そう言って真っ直ぐに私を見つめてふっと優しく笑うギル様はとても綺麗だった。
私はその言葉に嬉しいはずなのに……少しだけ複雑になった……なにこれ……。
その言葉はリオに言っているの?
リリィに言っているの?
リオに決まっている……だって私は今リオなのだから……、少しだけ胸がチクッとした気がした。
この向けられた優しさは、私だけど私じゃない……リオに向けられた優しさだ。
自分で選んだ道なのに自分にズルい……と思ってしまった……。
胸が少し痛みながら、ギル様を見上げる。
「ギル様は……こ、婚約者様のことを……ど、どう思っているのですか?」
「ふっ……気になるか?」



