婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】


「ねぇ……前にも言わなかったかな?」


ロキさんは呆れたようにため息を吐くと私を見つめる。


「そんな顔をしていると……本当に食べられちゃうよ?」


ロキさんはよくこの台詞を言うけれど、何を言っているんだろう??


「私は食べ物じゃないです」



私はむすっとしたまま言い返すと、ロキさんは目を丸くしたあと、吹き出した。


「ふふふっ……そうだったね。君は心がとても綺麗だったよね……ふふっ。

あ……そうだ、君の本当の名前を教えてくれないかな?」



あ……、もしかして料理人のロキさんは私のことを知らない……?



「私、リリィです」

「リリィ……、とても可愛いらしくて君にぴったりの名前だね」

「ふふふっ……ありがとうございます」



私のことを知らなそうなロキさんに安心して笑うと、彼はおかゆの入った食器を手に取った。



「さてと、そろそろ俺がせっかく作ったご飯、少しでも食べてくれないと寂しいんだけど?」


ロキさんは優しく微笑むとスプーンを私の口元まで運ぶ……、だけど、食べれそうにない……。


私は申し訳なくてしょんぼりとする。


「……食欲、ないです……」