婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】


ギルside


眠っている間、ずっと暗いトンネルの中にいるようだった。

ひどく頭が痛み、胸は息苦しくてしんどかった。


そんな暗闇の中で、俺に話しかける優しい声が何度も何度も響いていた。


「大丈夫ですよっ」
「早く元気になってください」
「ここにずっといますから」


優しい声とあたたかな手の温もりに、苦しさがすっと落ち着くようなそんな不思議な感覚があった。



あれから……どれくらいそうしていただろうか。



少しずつ意識がはっきりしてくると、俺は体が軽くなっていることに気づく。


それと同時に俺の手にはまだ温かさが残っていた。


……夢じゃ、なかったのか?


ゆっくりと目を開けると、俺はあたたかな手元を確認する。


そこには……俺の手を握りしめたまま、ベッドに突っ伏して眠るリオの姿があった。


あの優しい声とあたたかな手は……


「お前だったのか……リオ」


俺はゆっくりと起き上がると、すやすやと眠る綺麗なリオの顔をじっと見つめる。


目の下にはひどいクマができていた。


お前は寝ずに俺の看病をしてたのか……?



ボサボサの茶色の髪の毛に、目の下にはひどいクマ……、そして俺の手を一生懸命に握って眠る姿に……


俺は愛おしいと思った。