婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



立ち尽くす私の元へ、バタバタと足音が聞こえてきて振り返ると、今日も元気なレオ様が駆け寄ってきた。



とっても嬉しそうにしていて「どうしたんですか?」と、尋ねると

いつもと違う表情をしたレオ様が、キラキラとした目で屋敷の光景を見つめながら私に自慢げに話しかけてきた。



「俺の兄上はすごいだろ?」

「ふふっ……、そうですね、本当に凄いです」


「だろ?俺も将来は兄上のようになりたいんだっ!困ってる人たちの話をちゃんと聞いて、誰にでも全力で手を差し伸べてあげれるようなそんな兄上みたいに俺もなりたいっ!」



横で笑うレオ様は、とてもいきいきとしていて、いつもよりすごく素敵な表情をしていた。


私はレオ様から、この公爵領に訪れている領民たちの様子に視線を戻し、改めてギル様のすごさを感じながら口を開く。



「……ギル様はみんなから凄く好かれているんですね」

「当たり前だろ?俺の兄上だぞ?」



そう言って自慢げにキラキラと笑うレオ様の笑顔とギル様を慕う領民たちの姿が、脳裏から離れなかった。



ここ数日で私は、いろんな光景を目にして自分の勘違いに酷く反省した。

そして、今までの謝罪の気持ちを込めて拳をぎゅっと握って決意する。



「ギル様っ!待っていてくださいねっ!!僕が絶対に元気にしてみせますっ!!」



そう誓った私は、数日間に渡って眠るギル様の横からひとときも離れることなく、必死に看病を続けたのだった。


元気になってください、ギル様。