婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】




───そして、お昼になった頃、レイヴン公爵領の領民が「先日ギル様に助けられた」と、お礼のために屋敷へと挨拶に訪れた。



「ギル様は体調を崩しています」


と伝えると、その噂は領内であっという間に広がっていった。

するとその日から、ギル様を心配する領民の人々が屋敷を訪れては



「これを公爵様にお渡し下さい」
「早く元気になるようこちらを」
「これはとても滋養があるんですよ」



そう言って様々な贈り物が届けられる。

私はそんな光景を唖然と見つめていた。



やっぱり昨日感じたことは正しかった。

モラハラ男と全然違う……前世のあの人は、こんなに人から好かれるような人じゃなかった。

ギル様は、偉そうで口が悪くて意地悪で二重人格だし……いいのは顔だけだと思っていたのに……。

だけれど、こんなにも人々に愛されている。


そんな人が、モラハラ?
ありえないじゃん……。



私は昨日と今日の光景を見て確信した。


何も見ようとせずに、酷い勘違いをしていたことを心の中で謝る。