ギルの名前を出した瞬間、みるみる顔が青くなり慌てる彼女。
「アル様っ!…お…お願いです!ギル様には秘密にしてくれませんか……っ?!
私、ギル様が嫌いとかそういうのじゃなくて……ただ結婚をしたくないんです……っ!」
シャツをぎゅっと握りしめた彼女は、今にも泣きそうな顔で、必死に俺にお願いをしてきた。
「……うーん、そうだねぇ……」
俺はうーんと彼女の髪の毛をいじりながら、少しだけ考える。
改めて考えると、俺の頭に浮かぶのは、やっぱりあの日俺だけに向けてくれた花が咲いたような笑顔のリオだった。
そして、レオと無邪気に笑う彼女はキラキラと輝いていたのを思い出す。
あの笑顔を、いつまでも曇らせたくないし守りたいと思った。
そう思ってしまった自分にびっくりする。
うん……そうだね。ギルにはバレたくないね。
こんなに可愛いらしい彼女を独り占めなんてずるいよね。
ギルの元から逃げ出してここにいるってことはさ、それってつまり、俺にもまだチャンスがあるってことだよね?
あの笑顔は、俺のものにしたいなぁ。
俺の中に、静かに独占欲が生まれた……。



