婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】



振り返る間もなく、俺の右手を小さな手がぎゅっと掴みぐいぐいと引っ張る。


「は……?ちょ、おい、リオ……っ!?」


あまりの奇想天外な展開に、俺の笑顔が流石にこの時ばかりは素で崩れた。



俺の手を引きながら、目の前で笑うリオを見ながら昨日のことを思い出す。



俺は昨日、リオの部屋の壁に剣を振り下ろし「殺すからね」と釘をさした気がするんだけど……。


あんなに震えて腰を抜かしてた癖に……なんなの?


普通は怯えて近寄らないよね……、なのに今日も明るく満面の笑みを俺に向けて、真正面から突撃してくるなんて……



……この子は一体どんな神経をしているんだろうか?