密かに… そっと…

「……これで、一学期終業式を終わります」

(終わったー!)
心の中で万歳をする。

あの日から、友達に毎日のように詩音くんのことを聞かれ続けた日々も、ようやく終わりを告げた。
明日からは――夏休み!

詩音くんの家、じゃなくて、バイトに行ける!
(毎日、会えるかなぁ)

そんなことを考えて、完全に浮き足だっていた。
……ああ、こういうところを友達に見られちゃうんだよな。

「ふーうーかー」

ニヤニヤをこれでもかと顔に貼り付けた友達が、ずいっと寄ってくる。

(なるほど。"ニヤニヤ"って、私もこんな顔をしてたのか。気をつけなくちゃ)

「浮き足だってますねー。
もう、なんなら浮いちゃってるよ」

彼女は私の耳元に顔を寄せ、内緒話みたいに囁いた。

「夏休み、頑張ってね」

それから、いつもの調子でひらひらと手を振る。

「じゃーねー」