「風香ー、次は授業変更で音楽だって。行こう」
二時間目後の休み時間を急に移動に取られて、あちこちから「えー」という声が上がる。
しかも5階となると、その不満も少し大きめだ。
でも、私はみんなと違って、ちょっとだけワクワクしていた。
(もしかしたら途中で詩音くんに会えるかも…)なんて考えて。
「詩音、お前、肘掛けにちょうどいいじゃん」
「おいっ、やめろよー」
(詩音⁈)
前から賑やかな男子の声が近づいてくる。
背の高い男子に肘を乗せられて歩いてくる詩音くん。
今まで見たことのない顔で、思いっきり笑っている。
ドキンッ
(うっ、撃たれた⁈)
あまりのかっこよさに、胸を撃ち抜かれた衝撃が走る。
思わず胸を押さえた。
「風香、何、大丈夫?」
急に立ち止まった私を、友達が心配して声をかける。
「ごめん、大丈夫。ちょっと心臓が痛い気がしたけど、気のせいだった」
男子生徒の集団が通り過ぎていく。
顔を上げると、そっと後ろを振り返る。
バチッ
同じタイミングで振り返った詩音くんと、目が合った。
詩音くんは目をまん丸にすると、サッと前を向いてしまった。
(驚いた顔、可愛かったなぁ…)
かっこいいと可愛い、二種類の表情を見られた私は、スキップで廊下を進んだ。
その日も、いつも通りのバイト前ルーティンをこなして、喫茶 オークに向かった。
(バスケの練習をしてる詩音くんも見れたし、今日はついてるなぁ…)
鼻歌交じりでテーブルを拭いていると、常連さんに声をかけられた。
「ご機嫌だねぇ」
「いいことでもあったの?」
「そうなんですよー」
「何があったか気になるなぁ」
「秘密です」
笑顔で、軽く交わす。
(今日は、どんなに忙しくなっても、簡単にこなせそう)
なんて、好きな人パワーを発動する。
「いらっしゃいませー」
パスタを炒めるたびにフライパンが振られる音も、今日はやたらとリズムを奏でている。
なんて、いつもよりテンション高めに仕事をしたけど、身体は正直だ。
落ち着いたことで、身体が疲れていることに気がついた。
そうなると、パワー切れ。
思わず
ふぅ…
と、ため息をついてしまう。
「今日は忙しく動いてたから疲れたでしょう。ちょっと座ってて」
店長に気づかれてしまった。
でも、大丈夫ですと言える体力もない。
お言葉に甘えて、座らせてもらう。
チリンチリーン
来客だと重たい頭を持ち上げると、詩音くんが帰ってきた。
今日二度目の
バチッ
目が合う。
「三波さん、大丈夫ですか?」
えっ…?
詩音くんが私の名前を呼んだ?
急な出来事に、思考が停止する。
「三波さん? やっぱり具合悪いですか?」
私は慌てて首を横に振る。
詩音くんは、ホッと安心したような顔をしてくれた。
「今日、学校で“心臓痛い”って話しているのが聞こえて、具合が悪いんじゃないかって思ってたから…」
最後の方は、消えそうなくらいの小さな声だった。
「心配しててくれたの?
ありがとう。
心臓も痛いかもって思ったけど、気のせいだったみたい」
私のことを気にかけていてくれたことが嬉しくて満面の笑みで返す。
「良かった…」
そう言うと、詩音くんはエプロンをつけて洗い場へ消えた。
ジーン…
(感動です。今日はなんて日なんでしょう。ご褒美dayですか。神様、ありがとうございます…)
今日は、少しだけ前に進めた日。
二時間目後の休み時間を急に移動に取られて、あちこちから「えー」という声が上がる。
しかも5階となると、その不満も少し大きめだ。
でも、私はみんなと違って、ちょっとだけワクワクしていた。
(もしかしたら途中で詩音くんに会えるかも…)なんて考えて。
「詩音、お前、肘掛けにちょうどいいじゃん」
「おいっ、やめろよー」
(詩音⁈)
前から賑やかな男子の声が近づいてくる。
背の高い男子に肘を乗せられて歩いてくる詩音くん。
今まで見たことのない顔で、思いっきり笑っている。
ドキンッ
(うっ、撃たれた⁈)
あまりのかっこよさに、胸を撃ち抜かれた衝撃が走る。
思わず胸を押さえた。
「風香、何、大丈夫?」
急に立ち止まった私を、友達が心配して声をかける。
「ごめん、大丈夫。ちょっと心臓が痛い気がしたけど、気のせいだった」
男子生徒の集団が通り過ぎていく。
顔を上げると、そっと後ろを振り返る。
バチッ
同じタイミングで振り返った詩音くんと、目が合った。
詩音くんは目をまん丸にすると、サッと前を向いてしまった。
(驚いた顔、可愛かったなぁ…)
かっこいいと可愛い、二種類の表情を見られた私は、スキップで廊下を進んだ。
その日も、いつも通りのバイト前ルーティンをこなして、喫茶 オークに向かった。
(バスケの練習をしてる詩音くんも見れたし、今日はついてるなぁ…)
鼻歌交じりでテーブルを拭いていると、常連さんに声をかけられた。
「ご機嫌だねぇ」
「いいことでもあったの?」
「そうなんですよー」
「何があったか気になるなぁ」
「秘密です」
笑顔で、軽く交わす。
(今日は、どんなに忙しくなっても、簡単にこなせそう)
なんて、好きな人パワーを発動する。
「いらっしゃいませー」
パスタを炒めるたびにフライパンが振られる音も、今日はやたらとリズムを奏でている。
なんて、いつもよりテンション高めに仕事をしたけど、身体は正直だ。
落ち着いたことで、身体が疲れていることに気がついた。
そうなると、パワー切れ。
思わず
ふぅ…
と、ため息をついてしまう。
「今日は忙しく動いてたから疲れたでしょう。ちょっと座ってて」
店長に気づかれてしまった。
でも、大丈夫ですと言える体力もない。
お言葉に甘えて、座らせてもらう。
チリンチリーン
来客だと重たい頭を持ち上げると、詩音くんが帰ってきた。
今日二度目の
バチッ
目が合う。
「三波さん、大丈夫ですか?」
えっ…?
詩音くんが私の名前を呼んだ?
急な出来事に、思考が停止する。
「三波さん? やっぱり具合悪いですか?」
私は慌てて首を横に振る。
詩音くんは、ホッと安心したような顔をしてくれた。
「今日、学校で“心臓痛い”って話しているのが聞こえて、具合が悪いんじゃないかって思ってたから…」
最後の方は、消えそうなくらいの小さな声だった。
「心配しててくれたの?
ありがとう。
心臓も痛いかもって思ったけど、気のせいだったみたい」
私のことを気にかけていてくれたことが嬉しくて満面の笑みで返す。
「良かった…」
そう言うと、詩音くんはエプロンをつけて洗い場へ消えた。
ジーン…
(感動です。今日はなんて日なんでしょう。ご褒美dayですか。神様、ありがとうございます…)
今日は、少しだけ前に進めた日。


