密かに… そっと…

翌日。

少しでも早く詩音くんの状態が知りたくて、半ば走るようにバイト先へ向かった。

「おはようございます」

息を切らしながら店内に声をかけると、

「おはよう、風香ちゃん。今日もよろしくね」

いつもと変わらない、店長の声。

「あ、あの……詩音くんは、大丈夫でしたか?」

平常心を保つ余裕もなく、勢いのまま聞いてしまう。

(私の気持ち……気づかれちゃったかな……)

「そうだよね。昨日は不安にさせたままだったもんね。気になるよね」

店長はやわらかくそう言って、

「検査の結果、特に問題はなかったよ。二、三日様子を見て、問題なければ部活も大丈夫らしい」

(よかった……)

胸の奥に溜まっていた不安が、ゆっくりほどけていく。

でも――

(あと、二、三日……)

会えない時間が、少しだけ伸びた気がした。

詩音くんのいないお店。

忙しさに紛れて、一日はあっという間に過ぎていく。

外は相変わらず、まとわりつくような空気。

そして――

私の頭の中にも、同じように詩音くんのことがまとわりついて離れない。

(大丈夫かな……)

(ちゃんと、休めてるのかな……)

ふとした瞬間に、何度も思い出してしまう。

早く、元気になりますように。