黒い羊と無菌狂

ミオネ
「マユたち…大丈夫かな…?」

ステージを覆っていたスモークが晴れてきた。

あんなに騒がしかった観客は全員、黙って立ち尽くしていた。

私は大きな木の陰に隠れ、背中をさすりながら客席の様子を見てみると、

ミオネ
「…人が…減ってる…?」

満席だったはずの観客席は、紅い弧を描いた場所に空間ができていた。

どういうこと?

スモークで何も見えない中、多くの人が客席から退場したの?

そういえば、マユたちも見当たらない。

ステージ中央の最前列あたりに走って行ったはずなのに。

まだ多くの人が残っているから、隠れて見えないだけ?

ザワザワ…ザワザワ…

黙って立っていた人たちが、再び騒ぎ始めた。

彼らの目はどこか焦点が合っておらず、白目は血走っているように見えた。