黒い羊と無菌狂

ミオネ
「痛ッ…もう少しで…スモークの外…!」

私は背中の痛みをこらえながら、スモークが届かない後方へ這い出た。

ステージも観客もすでにスモークで覆われ、誰の姿も見えなくなっていた。

『ワァァァァァ!!!!』

ミオネ
「スモークの中は興奮の渦ね…マユたち、ぶつかってケガしてなければいいけど…。」

チカッ、チカッ、

ミオネ
「…気のせい…?紅い…光が…?」

スモークの中に、レーザーポインターの”紅い閃光”がいくつも見えた。

本社での新人研修の時、私にまとわり付いてきた光と同じだ。

『ワァァァァ!!!』

『ワァァァ!!』

『…ァァ…!』

…これも気のせい?

紅い閃光が走るたびに、観客の大歓声が次第に小さくなっていくような…?

チカッ、チカッ、

シュン!シュン!

今度は、紅い閃光の軌道が半円を描いた。

何度も、速く、鋭く、まるで何かを斬るように。