わずかな期待を抱きながら見上げると、静は目を細めた。
「はい。何かあったら困るんで」
「……。」
そんな答えしか返さないくせに。
どうしてこんなにも心を乱すようなことばかりするんだろう。
静はポケットからハンカチを取り出すと、さっきまで握っていた私の手を丁寧に包み込んだ。
まるで壊れ物でも扱うみたいな優しい手つき。
指先までそっと拭われるたび、胸の奥が落ち着かなくなる。
呆然としてされるがままの私。
……拭くくらいなら最初からしないでよ。というか、なんであんなことしたの……。
「……静のバカ」
思わず零れた小さな悪態だけど、本気で怒っているわけじゃないことなんて、自分が一番よくわかっていた。
「はは」
静は楽しそうに笑う。その笑い声が妙に懐かしくて、胸の奥がじんわりと熱くなった。



