どうせなら、最後は君に殺されたい



「え…?」



頭が追いつかない。いや、追いつかないというより、どこかで“そんなはずない”って否定している自分がいる。



静って、まさか——。



「お久しぶりです。俺のこと覚えてますか?」



穏やかな声。さっきと同じ、落ち着きすぎているくらいの声音なのに、その言葉だけがやけに重く胸に落ちてきた。

”静”という名前は、私の知る限りでは一人しかいないはずだ。


喉がひゅっと鳴る。



「ほ…ほんとに、ほんとに静なの…?」



声が震えるのを止められないまま、それでも目を逸らせなかった。

目の前の男は、ゆっくりと微笑んだまま、静かに頷く。



「はい」



その“はい”が、どうしてこんなにも昔の記憶を引きずり出してくるのか分からなかった。


静との出会いは、今から8年前。まだ私が“鳳条ふみ”という名前の重さもよく分かっていなかった頃のこと。


私は母親を知らない。


組長であるおじいちゃんの実娘だった母は、生まれつき体が弱くて、私を産んだと同時にこの世を去ったと聞かされている。