……本当は覚えている。
静が言った言葉も。その時の顔も。全部覚えている。
『早くデカくなって、ふみを守れるくらい強くなりたい』
何がきっかけだったのかは思い出せない。でもその言葉だけは忘れられなかった。嬉しかったから。
あの頃の私はいつも不安だった。嫌われるのが怖くて、置いていかれるのが怖かった。だから静の言葉が嬉しかったんだ。
静のアーモンド色の瞳がまっすぐ私を見つめる。その瞳は昔よりもずっと大人になっていた。
鋭さもある。強さもある。でも奥にある優しさだけは変わっていなかった。
その瞳の中に映る私も、もう7歳の女の子じゃない。子どもじゃない。
静だって子どもじゃない。7年という時間は確かに流れていた。
「今度こそ、一番近くにいさせて」
静の指が私の手を包む。その温もりが離れない。
会いたかった。ずっと会いたかった。怒りたかったはずなのに。責めたかったはずなのに。
今はただ、この手を離したくないと思っている自分がいる。



