どうせなら、最後は君に殺されたい




ふとした瞬間に思い出す。猫を見るたびに。夕焼けを見るたびに。誰かに名前を呼ばれるたびに。


静は今どこにいるんだろう。元気なんだろうか。ちゃんとご飯を食べているんだろうか。そんなことばかり考えていた。




そして今。


目の前にいる男は、もうあの頃の静じゃなかった。


背は高くなっていた。声も低くなっていた。顔立ちも大人になっていた。


7年という時間が確かにそこにあって、私の知らない人みたいだった。私の知らない時間を生きてきた人だった。


……それなのに。



「ふみ」



その声を聞いた瞬間、胸の奥で何かが壊れた。

あの頃と同じ、7歳の私を呼んだ時と変わらない声色。

優しくて、少しだけ不器用で、どこか安心する声。


たった二文字なのに。たった一度名前を呼ばれただけなのに。どうしようもなく泣きたくなった。