静がぽつりと聞く。私は涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま瞬きをした。
「え?」
「お母さんと、お父さん。お前もいないの?」
”お前も”
今、静はそう言った。
お前も、って。じゃあ静も――。
静もお父さんとお母さんがいないの?
「俺も、いない。お前とちがって、おじいちゃんだっていない。家族は、誰もいない」
「……っ、」
家族がいない。その言葉の重さを、7歳の私は全部理解できたわけじゃなかった。
でも、それがとても寂しいことなんだというのは分かった。だって私はずっと寂しかったから。
お父さんに会えないことも、お母さんに会ったことがないことも、友達がいないことも。全部苦しかった。



