その日から私はなんとなく静と顔を合わせるのが怖くなった。
屋敷の中で静の姿を見つけると、慌てて部屋へ戻る。
足音が聞こえるだけで胸がざわつく。
もしまたあんな目で見られたらどうしよう。もしまた拒絶されたらどうしよう。
そう思うだけで苦しくなった。
だから私は部屋に閉じこもるようになった。
本を読んでも内容は頭に入らない。絵を描いていても楽しくない。気づけば静のことばかり考えていた。
どうして嫌われたんだろう。何がいけなかったんだろう。その答えは分からないままだった。
そんな私を、おじいちゃんも優一郎さんも、組のみんなも心配していた。
みんな優しく声を掛けてくれる。笑わせようとしてくれる。でも私はうまく笑えなかった。
大丈夫だと言えなかった。
胸の奥にできた小さな傷は、自分でも思っていたよりずっと深かったのだ。



