裏切りは決して許されず、一度失った信頼を取り戻すことはできない。
けれど、鳳条組が重んじるのは力だけではない。
『義理を欠かず、筋を通すこと』
それが代々受け継がれてきた鳳条組の掟だった。
本部は都心から離れた高台に建つ広大な屋敷の中にある。
高い塀と頑丈な門に囲まれたその敷地には、本部棟をはじめ、組長一家が暮らす本宅、来客用の離れ、組員宿舎、車庫棟などが並んでいる。
門の内側では常に組員たちが警備にあたり、昼夜を問わず黒塗りの車が出入りしている。
そして私は、その敷地の中にある、ここ、本宅で生まれ育った。
鳳条組組長――鳳条源一郎の孫娘として。



