どうせなら、最後は君に殺されたい




本当にそうだ。鳳条家に生まれてから今まで、危険な目に遭ったことなんてない。

家の警備は厳重だし、外へ出れば臣さんがいた。何不自由なく守られて育ってきた。

だから正直、護衛の必要性を感じたことなんてなかった。



「ふみ」



おじいちゃんが私の名前を呼ぶ。その声色に、私は思わず背筋を伸ばした。

さっきまで笑っていたおじいちゃんの顔が変わっていたからだ。

組長の顔だった。優しい祖父ではなく、鳳条組の頂点に立つ男の顔。



「今までとは、訳が違うんだよ」



低く静かな声。その一言だけで部屋の空気が変わった気がした。

私は思わず息を飲む。おじいちゃんは真っ直ぐ私を見ている。その目は冗談を言う時の目じゃない。



「おめぇと同じで、家がヤクザの孫なんてどこにでもいる。今までは同じくらいの背丈で無害だと思っていたものも、その歳になれば違う。言いたいこと分かるだろ?」

「……っ」



おじいちゃんの低い声が静かに部屋へ響く。その言葉を聞いた瞬間、私は何も言えなくなった。

分かる。嫌になるくらい分かる。だから反論できない。